褒められるのは好きですか? 誰でも好きですよね。では自分を厳しく批評されるのはどうでしょうか? 好きな人は多くないのではと思います。性格的に褒められてチヤホヤされて伸びるタイプで、とにかく自分を批判されると攻撃だととらえて身構えてしまうタイプの人もいます。和巳さんはずっと幼少期からびのびと過ごし、あまり怒られたこともなかったといいます。でも、頭の良い和巳さんはそれが自分の成長を阻害していることに気づいていました。
成績が良く品行方正で、社会的に見たら年齢の割に成功もしている和巳さん。お仕事もビッグプロジェクトのクリエイティブディレクターです。大きな案件を任されており、毎日充実しています。
パートナーの行成さんは士業事務所の副所長を勤めています。私生活でもお互いに助け合いながら家事や生活を回し、一見すると不協和音は何もなく、完璧なカップルに見えます。しかし、実はおふたりには「見えない壁」がありました。行成さんもまた完璧主義で自他共に厳しく、あまり他人を褒めない傾向があり、褒めて欲しくて批判されたくない和巳さんと、一時はとても険悪な中に陥ることもあったそうです。
では、ふたりがどうやって危機を乗り越え、パートナーシップをより強固な絆へと変えていったのか。どのようにお互いに成長していったのかを聞いていきましょう。
和巳さんは国を代表するようなビッグプロジェクトのディレクターを任されるなど、大活躍されていますね。
和己さん
まだまだ何ですけど、大きな仕事を会社が受注し、私が投入された感じです。もちろん自分一人でできるものじゃないからチームのおかげなんですけど、張り切っています。
幼い頃から『成果』を出すことを意識しておられたと聞きました。
和己さん
そうですね、正直それはあります。 端から見てどう見られるかを意識して結果をそこにチューニングしていくというか・・・ネタばらしになっちゃいますけどPerception is everything(どう見られるかがすべて)という言葉があって、小さい頃、大手の外資系企業で働いていた親にいわれたんです。 どうみられるかがすべてだというマーケティングの用語というか標語らしいんですけどね。幼い頃からそれは意識していました。誰かの中に私の虚像が作りこまれる、それがすべてを左右する、みたいな
行成さん
マーケティングで有名な外資系の日用品メーカーの言葉ですね。義父と酒を飲んだ際に聞きました。非常に「らしい」考え方です。マーケとかブランディングの業界にはずっと『デザインかアートか』という議論があって、アートは文字通り『自分がやりたいことやる!』という世界です。一方のデザインは『求められ、役立つことをする』という考え方。思想の世界なのでどっちが正しいとかはないのですが、彼女はとても『デザイン』的であり、やりたいことというよりやれること、そして強みが発揮できることを中心に生きてきたんだな、って感じがしますね
まるでビジネスパートナーですね。おふたりは同僚のようにディスカッションされることもあるのですか?
行成さん
ありますね。僕は士業事務所の経営陣という立場上、話を聞くことの方が多いんです。クライアントファーストの世界なので。そして士業に依頼してくるのはたいていおじさんだから、おじさんは良くしゃべる笑 そしてこっちもおじさんだからしゃべりたい笑。つい家でも彼女をとっつかまえて仕事の話してしまいますね。
和己さん
そうですね~私はどっちかというと仕事が終わったら趣味の話…小説を読んだりお花を愛でたりしていたいんですけど、仕事も大好きなのでいくらでもお付き合いしますよという感じですかね。
和己さんは私生活ではどんな感じですか?
行成さん
これだけ活躍しているのに、僕を立てるっていうか自分が引くというか、男勝りにならず可愛いものが好きなところとか、かわいいと思いますね。
和己さん
そんなそんな。勝気に見られかねないからこそ、謙虚さを意識しています。それもまた私のポリシー(Perception is everythingのこと)の一環です。 というよりシンプルにお花が好きだし、紅茶も好き、小動物と触れ合うのも好きかな。小さくて儚いものが好きなところはあるかもしれない。
仕事ではバリバリ、プライベートではかわいらしく。まさに理想の女性でしたか?
行成さん
そうですね。僕は完璧主義が強くて自分自身も完璧でいたいという思いがすごく強いのですが、パートナーにもそれを求める部分はあったかもしれません。 彼女の良さをもっと引き出したいし、なんか女性と接してると言い方悪いですが競走馬を育てる感覚になっちゃって・・・仕事も自立していて欲しいし、プライベートでは可愛くいてほしい。そんな理想の女性を彼女にも追求して欲しくてつい厳しく言ってしまいます
和己さん
たしかに厳しいんですよね行成さん。。。私は成長志向が強いと思ってるんですが、褒められるのは大好きだけど批判されるのは苦手。ちょっと調子に乗りやすいとか、ときどき仕事に熱中しすぎて美容がおろそかになってるとか、言われたくないこともあります笑
その「言われたくないこと」と「指摘したいこと」がぶつかって、一時は関係が悪化したとか・・・。
和己さん
そうなんです。 私はずっとずっといいこいいこで育ってきた自覚があって、打たれ弱い部分はあると思います。行成さんって言うときははっきり言うから、結構傷ついちゃって・・・
行成さん
強く言いすぎた部分は反省しています。でもはっきり伝えないとわからないこともあるから。言われたくないことに耳をふさいで、自分のコンフォートゾーンの中だけで快適に暮らしていたらダメだと思う。僕は独立してから特にそのことを顕著に考える。人は誰しも成長しなければならないし、事業は拡大すべきだし、傷ついても乗り越えないといけない。ちょっと“べき論“が強い自覚はありますが、間違ったことを言ってるつもりはない。
和己さん
ちょっと行成さんの想いが強すぎたとき、エンジェルに相談したんです。そこでコーチング的な自己対話を促され、私は正しい/正しくないよりも、うまくいく/うまくいかない、の軸の方が大事だと気づきを得ました。エンジェルの担当者さんが優秀で、私の深層心理というか心の奥で思ってることに自覚的になれたので、“正しさ”で対立せず、“うまくいく“を優先することにしたんです。
ちょっと和巳さんが一歩引いてる感じは印象としてあります。
行成さん
僕はエンジェルの性格診断を受けたとき、『完璧主義で自他共に批判が強い』っていわれたんです。めちゃめちゃ自覚あります。ともに成長できる相手がいいから仕事を頑張ってる人がいいなって思ってたんですが、和巳さんはほんと頑張りすぎてるぐらいですね。実は僕も別でエンジェルに相談していたんですが、そこで「もっと褒めること」にたどり着いたんです。僕は批判力が強すぎて相手の心を折ってしまうのかもしれないと。
和己さん
えっ、そうだったんだ。お互いにエンジェルに相談していたなんて。『言われたくない人』VS『言わずにおれない人』の構図になっちゃったら対立しちゃうと思うんですが、エンジェルが『相性の悪い人』を案内するわけはないっていう信頼はあったので・・それに『彼とは対立関係です』なんて恥ずかしい。家庭運営もうまくいかないなんてそれは嫌だな。
行成さん
その思いは僕も同じ。仕事はそこそこ上手くいってるけど家庭運営がうまくいってないなんてありえない。だから僕も恥ずかしがらずに褒めるようにしました。実際、和巳さんは良いところも沢山あるし、頑張り屋さんだし、学歴もあるし、結果は出せる人だと思うし、家でもニコニコしてくれていて、よくやってくれてると思う
和己さん
やった!褒められた。素直に受け取ります。
エンジェル編集後記
まるで職場の先輩後輩のようにも見えるおふたり。ちゃんと中身をともなったパートナーシップを築かれています。エンジェルが見るに、おふたりは見た目やどう思われるかという客観性から入り、徐々に中身を埋めていくという共通点があります。
「Perception is everything」とおふたりは教えてくれました。どう見られるかがすべて。ふたりともそのポリシーに従って、パートナーシップを理想のものにすべく努力し、そして素敵な男女でいられるよう中身も伴って成長していく過程を楽しんでおられます。